失敗の共有「理念なき経営の末路」
2026-07-03
多くの仲間が会社を去った
数年前、私たちの会社では短期間で多くの社員が退職しました。当時は事業も増え、人も育ち、組織も拡大していました。しかし、その裏側では経営方針が定まらず、その時々の状況によって方針や判断が変わる場面が少なくありませんでした。社員は何を信じて働けばいいのか分からない。管理職は判断基準を失い、自信をなくしていく。現場には不安が広がり、会社への信頼も少しずつ失われていきました。多くの仲間が会社を去った時、私は「事情があって人が辞めた」と捉えていました。しかし、本当は違っていました。会社への期待がなくなっていたのです。
業績も悪化していった
多くの仲間が去ったころ、連動するかのように業績も悪化してしまいました。もちろん、コロナ禍の影響もありました。しかし、今振り返ればそれだけではありません。組織そのものが機能しなくなっていたことが原因と言った方が正しいかもしれません。人が足りない。採用しても定着しない。サービス品質も安定せず、お客様も少しずつ離れていく。そんな状況に陥っていました。これは、売上が落ちるから人が辞めるのではなく、組織が壊れた結果として、業績も悪化していったという構図です。経営の問題は、数字より先に組織に表れます。私はそのことを身をもって知りました。
まず整えたのは理念だった
そこから私たちは経営を根本から見直しました。最初に着手したのは、商品でも営業でもありません。経営理念です。会社は何のために存在するのか。どんな未来を目指すのか。何を大切にして意思決定をするのか。それらを言語化し、社内外へ一貫して伝えるブランディングにも本気で取り組みました。理念を整えることで、判断基準が生まれます。判断基準が生まれることで、組織に安心感が生まれます。理念とは、単なるスローガンではなく、組織を動かす共通言語なのだと実感しました。
理念なきまま任せた代償
私が最も反省しているのは、理念も判断基準も整っていない状態で、現場に任せるという経営をしてしまっていたことです。これは権限移譲ではありません。単なる放棄でした。経営者が示すべき方向を示さず、「みんなで考えて」と言っていたのです。それでは組織がまとまるはずもありません。今思えば、あの頃の私は経営者として失格でした。だからこそ今は、理念を整え、未来を語り、組織の土台をつくることが経営者の最も重要な仕事だと考えています。あの失敗があったからこそ、現在の私たちの経営があります。この失敗から学んだことはとても貴重なことだと思っています。この失敗で失ったものが大きいからこそ、失敗を語り、未来へ企業カルチャーとして繋げていこうと思っています。
そして、私と同じ失敗をする経営者が一人でも減ってほしい。その思いから、成功事例だけでなく、失敗や葛藤も含めたリアルな組織論・経営論を発信していこうと考えています。経営は、成功よりも失敗から学ぶことの方が多いものです。だからこそ、私たち先輩経営者には、自分たちが経験してきた失敗を次の世代へ伝えていく役割があるのではないかと考えるようになりました。これからも「きものではたらく社長のブログ」では、実体験をベースにした組織づくりや経営について飾らずに発信していきます。引き続き、お付き合いいただけましたら幸いです。HIRONORI KAJIKAWA




